日本人がタニシと聞けば沼とかにいる臭い巻貝を思い浮かべるかと思います。私が子供のときは別の生き物目当てで、沼の中に網を入れてすくいあげるとよくそのタニシが上がってきたものでした。
ベトナム語でốcと呼ばれる食べ物があるのですが、一般に日本語でタニシと訳されます。どうも日本語でタニシのイメージは臭いものなので微妙ですが、これしか訳しようがないので仕方がありません。
ベトナム人はこのốcをよく食べます。大きさは大小さまざまですが蒸したり炒めたりしたものに専用の調味料をつけて食べてみると中々美味です。私のような酒飲みにはいい酒のアテにもなります。この食材が食べられる場所は色々で、それこそ路上の屋台などでもよく出されています。学校帰りの学生がプスティック製の椅子に座って友達とワイワイしながらタニシを食べるという。。。字面だけでみたら中々すさまじい光景が浮かびますが、実際の味にはそれほどクセがないので老若男女問わず好まれています。
ベトナムではアサリも日頃の食卓でよく目にします。調理の方法はスープや鍋の具材に使われることが多いのですが、一つ気になることがあります。それは砂抜きをしないということ。日本にいたときはみそ汁でアサリを入れるときには砂抜きをいつもやっていたものでした。いや、正確には母はいつも砂抜きをやっていました。一方こちらでは砂抜きをしません。なので必然的にスープの底にはアサリが吐いた砂が溜まっています。
ただこちらではスープを最後の一滴まで飲み干すということはあまりありませんので、砂を口に含むということもあまりありません。ただやはり気になると言えば気になります。
そもそも砂抜き自体を知らないのかと思い、嫁に尋ねてみると
「砂抜き?何それ??」
案の定でした。改めて日本料理の手間のかかり具合を実感します。ただこの砂抜き、やってみたら分かるんですが、結構時間がかかります。日頃仕事から帰って、それから夕飯の支度をしなければならない嫁に向かって時間と手間のかかる砂抜きをしろとはとても言えません。
とりあえずベトナム料理ではアサリの砂を飲み込むような機会はあまりないので、砂抜きなしでもOKにしています。まあアサリの味噌汁を将来作るようなことがあればしっかりやってもらうつもりですけどね(笑)